最近 会話が聞き取りにくくなっておりませんか?
夏に向かう時期とともに現れる? ご存知の「夏の吸血鬼:蚊」の存在です。
入眠時のあの音!!耳元で「プ〜ン」との音(羽音の周波数350〜600Hz、聞こえても15〜20cm離れているらしい)
寝苦しさに加えストレスが溜まる不快な音の代表例ですね。
そのような雑音などの好ましくない音も含め、会話、信号音などの必要な音、音楽などの好ましい音は生活に欠かせないもののひとつです。
今回は業務で騒音性難聴(職業性難聴)にならないためにも防止対策等を再確認して頂き、聴力機能のレベルを維持して参りましょう。
T.耳の仕組み
耳は外耳、中耳、内耳(図1)に分けられます。特に大事な役割をしているひとつが内耳にある蝸牛(かぎゅう)です。
この中には有毛細胞(ゆうもうさいぼう)があり、音を感じとり脳へ伝達する役割を担っています。
この情報によりいろいろな判断を人間は行っています。
ちなみに、加齢による耳の老化(老人性難聴)は30歳代から始まっているとも言われています。(図2)
職場(工場)などで継続的に大きな音(図3)を受けている場合は、有毛細胞にダメージ(図4)を受け、本来の役割が果たせなくなります。
このような状態が続くと、4000Hzの聴力レベルに低下(図5)がみられ、初期段階では自覚症状はありませんが、更に聴力低下が進み、
日常生活にて支障がでて家庭や社会生活の影響、そして危険の察知能力低下などが起こりだします。
この場合を騒音性難聴といい、有毛細胞は再生することができないため聴力低下が進行します。
U.耳(聴力)を守るためには
事業所(職場)での騒音性難聴を防止するために次の実践項目を確認して参りましょう。
1.音の大きさを知ることは重要!
- 等価騒音レベル※1を測定できる騒音測定器(JIS規格品)を用いて概ね80dB(A)以上の作業場について、定期的(6カ月以内ごとに1回)に作業環境測定※2を行い、その結果に基づき管理区分を決定する。
- ※1 騒音の瞬間値ではなく、ある時間内で変動する騒音レベルのエネルギーを時間平均した値
- ※2 測定者は作業環境測定士又は作業環境測定機関が行うことはないものの、作業環境測定基準に基づき測定を実施する。
- 作業場の管理区分に伴い、管理区分ごとの対策【管理区分の明示、設備等の整備、防音保護具※3(耳栓、イヤーマフ、規格など)の着用・掲示】を講じる。
- ※3 耳栓着用については当法人インフォメーション/最新情報の「あなたのその保護具は大丈夫ですか?」(2021年6月21日 衛生・健康情報)を参照下さい。
2.騒音防止対策(例)を検討、実施
対策はおおむね騒音発生源対策、伝搬経路に対する対策、作業者側の対策の3つに分かれます。
単独で十分な効果を得るのは難しく、複数の組み合わせで実施するのが有効的です。
- (1)騒音発生源対策
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@発生原因の除去
- →軸や管からの振動防止はゴム、布などの振動を伝えにくい材料により振動を遮断
- →軸受部などの摩擦振動の低減は、固定部の締め付け、注油など細かな点検・整備の実施
- →機械と床の間にゴム、バネ等を挿入による振動の低減 など
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A騒音発生源の密閉化
- →機械の保守・点検や運転に支障がないよう遮音性のある材質(二重壁の方が効果あり)を使用、開口部は必要最低限とする
- →必要により排気口に消音器や吸音ダクトを取付け など
- (2)伝搬経路に対する対策
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@吸音処理
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A 塀・衝立(障壁)
- →障壁による騒音の減少、また音の反射防止として天井や壁に吸音材を張り付けなど
- (3)作業者側の対策
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@防音室設置
- →遮音材と吸音材による遮音環境の確保と十分な換気を確保
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A 作業方法の改善
- →使用工具の整備・調整や作業方法の変更などによる発生源の低減、防音保護具の完全着用、作業標準等の作成 など
3.健康診断
雇入または騒音作業への配置転換時健康診断※4、定期健康診断(6カ月以内ごとに1回)
そして離職時等健康診断の結果に基づきご自身の聴力を確認し、騒音性難聴にならないためにも進んで受診して下さい。
- ※4 常時騒音作業に従事させる作業者は、労働衛生教育を含め従事前の実施が必要です。
V.参考資料
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